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育児休業を取得できる回数と手続き方法|育児休業制度③

この記事は社会保険労務士が監修しています。

今回は、実際に育児休業は何回取得できるのか、また取得するためにはいつまでに何をすればいいのか、という点に着目して、育児休業の「回数と手続き」についてご説明します。

育児休業の「対象者」については「育児休業を取得できる対象者・ケース|育児休業制度①」をご覧ください。
育児休業の「期間」については「育児休業を取得できる期間|育児休業制度②」をご覧ください。

 

育児休業を取得するためには、勤務先の会社に対して申し込まなければなりません。ただ、申し込めば無条件に取得できるものではなく、育児休業を申し込むためのルールが法律で定められています。

育児休業の回数

育児休業は、令和4年9月30日までは1人のお子さんにつき1回だけでしたが、令和4年10月1日から2回まで分割して取得することができるようになりました(経過措置として、令和4年9月30日以前に開始した育児休業を1回目と数え、令和4年10月1日以降に開始する育児休業を2回目の育児休業として取得できます)。
ただし例外があり、配偶者の死亡や婚姻の解消などの特別な事情がある場合や、保育所に入所できず夫婦交替で育児休業を取得する場合などについては回数制限から除外され、3回目以降の育児休業を取得することが認められています。

申し込みの内容

育児休業を取得するためには、原則として次の内容を会社に伝えなければなりません。(養子の場合など特定のケースには、別途追加の申し込み事項が必要となります。)

●申し込みの年月日
●労働者の氏名
●申し込みにかかわるお子さんの氏名、生年月日及び続柄(出産前の場合は、出産予定のお子さんの氏名、出産予定日及び続柄)
●休業を開始しようとする日、休業を終了しようとする日

上記の内容は、書面で会社に提出します。ただし、会社が認めた場合に限り、FAX やメールなど、書面以外の方法で申し込むこともできます。

なお、終了予定日を指定して育児休業を取得することになりますが、次の場合には、ママやパパの希望にかかわらず育児休業が自動的に終了します。

●お子さんを養育しないことになった場合
●お子さんが 1歳に達した(注釈1)場合(パパ・ママ育休プラスを利用した場合はお子さんが1歳2か月に達した場合、1歳6か月まで延長した場合はお子さんが1歳6か月に達した場合、2歳まで延長した場合はお子さんが2歳に達した場合)
●産前産後休業、介護休業または新たな育児休業が始まった場合

【注釈1】
たとえば4月15日が誕生日の場合、1歳に「達した」日とは翌年の4月14日(誕生日の前日)を指します。
これと同じように、4月15日が誕生日であれば1歳2か月に達する日とは翌年6月15日の前日の6月14日、1歳6か月に達する日とは翌年10月15日の前日の10月14日となります。

申し込みの期限

まず、お子さんが1歳になるまでの基本的な育児休業については、育児休業を開始しようとする日の1か月前までに申し込む必要があります。
「パパ・ママ育休プラス」についても、同じように1か月前までに申し込む必要があります。

「パパ・ママ育休プラス」について詳しくはこちらをご覧ください。

「産後パパ育休(出生時育児休業)」については、原則2週間前までに申し込む必要があります。
「産後パパ育休(出生時育児休業)」について詳しくはこちら をご覧ください。

お子さんが1歳6 か月または2歳までの「育児休業の延長」については、お子さんの1歳の誕生日または1歳6か月の2週間前まで(パパ・ママ育休プラスを利用している場合は、終了予定日の翌日の2 週間前まで)に申し込む必要があります。

「育児休業の延長」について詳しくはこちらをご覧ください。

また、次の特別の事情がある場合には、休業を開始しようとする日の1 週間前の日までの申し込みが認められます。

(1)出産予定日より早くお子さんが生まれたとき
(2)配偶者が死亡したとき
(3)配偶者が病気・負傷などで、育児休業の対象となるお子さんを養育することが困難になったとき
(4)配偶者がお子さんと同居しないこととなったとき
(5)お子さんが負傷、ケガまたは身体上もしくは精神上の障がいにより2 週間以上の期間にわたり世話を必要とする状態になったとき(負傷またはケガが治った後、障がいが残った場合を含みます。)
(6)保育所における保育の実施を希望し、申し込みを行っているが、当面その実施が行われないとき(ここで言う「保育所」とは児童福祉法に規定する保育所を言い、いわゆる無認可保育施設は含まれません。)

なお、この申し込み期限から遅れた場合は、ママやパパの希望にかかわらず、会社が一定の期間内で育児休業の開始日を指定することができます。そのため、ママやパパが希望する日から育児休業を開始することができなくなる可能性がありますので、申し込みが遅れることのないように注意しましょう。

申し込みの変更・撤回

育児休業期間の変更については、「開始日の繰り上げ」と「終了日の繰り下げ」に関するルールが法律で定められています。(法律で定められていない「開始日の繰り下げ」「終了日の繰り上げ」については、会社が認めた場合に限り認められます。)

●開始日を繰り上げるケース
当初育児休業を開始しようとした日の前日までに、出産予定日よりも早くお子さんが生まれた場合や、配偶者の死亡・病気・負傷など特別の事情がある場合に限り、1回だけ育児休業を開始する日を繰り上げ変更することができます。
その申し込みは、変更後の休業を開始する日の1 週間前までに行う必要があります。

●終了日を繰り下げるケース
特別な事情の有無を問わず、1 回だけ育児休業を終了する日を繰り下げし、その期間を延長することができます。なお、回数はお子さんが1 歳に達するまでの休業と、お子さんが1歳から1歳6か月に達するまでの休業、1歳6か月から2歳に達するまでの休業、それぞれ1 回ずつ可能です。
その申し込みは、当初育児休業を終了しようとしていた日の1 か月前までに行う必要があります。

また、一度申し込んだ育児休業については、育児休業の開始の前日までであれば撤回することができます。ただし、その申し込みの対象となったお子さんについては、配偶者の死亡や配偶者が負傷、ケガなどにより、お子さんの養育が困難な状態となったことなど特別の事情がない限り、再び育児休業の取得を申し込むことができません。

育児休業の申し込みについては、特に期限と回数などの制約に注意しながら、余裕を持って準備することを心がけましょう。

これらの法律や仕組みについて具体的に知りたい方は

 

※ 厚生労働省・都道府県労働局雇用均等室が作成している「育児・介護休業法のあらまし」という冊子にて、詳細について確認することができます。

育児・介護休業法のあらまし(厚生労働省サイト)

 

※本コラムは、令和5年4月1日時点の法律に基づいています。お手続きなどの詳細につきましては、会社のご担当者様にご確認ください。